鉄道やバスなどの地域公共交通は、人口減少やモータリゼーション等の影響により厳しい立場におかれています。こうした状況を踏まえ、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークへの「リ・デザイン」(再構築)を進める法改正が行なわれています。
地域公共交通活性化再生法の目的規定に「地域の関係者の連携と協働」が、国の努力義務として「関係者相互間の連携と協働の促進」が、地域公共交通計画への記載に努める事項として「地域の関係者相互間の連携に関する事項」が追加されました。
具体的には次のような施策が創設・拡充されます。
ローカル鉄道の再構築に関する仕組みの創設・拡充
地方公共団体または鉄道事業者からの要請に基づき、「再構築協議会」を組織し、「再構築方針」を作成する仕組みを創設します。
協議会の開催、調査・実証事業等を国が支援し、再構築方針等に基づき実施する「鉄道事業再構築事業」を拡充し、大臣認定を受けた同事業によるインフラ整備に取り組む自治体を交付金等により支援します。
バス・タクシー等地域公共交通の再構築に関する仕組みの拡充
地方公共団体と交通事業者が、一定の区域・期間について、交通サービス水準、費用負担等の協定を締結して行なう「エリア一括協定運行事業」を創設します。
AIオンデマンド、キャッシュレス決済、EVバス等の導入を通じ、交通分野のDX・GXを推進するために「道路運送高度化事業」を拡充します。
鉄道・タクシーにおける協議運賃制度の創設
乗り合いバスに導入されている「協議運賃制度」を、鉄道・タクシーについても創設します。
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この法律は一部を除き公布の日から6か月を超えない範囲内の日に施行されます。
優れた外国人材の受入れ促進
トップレベルの能力を持つ高度外国人材の受入れを促進するため、一定の水準以上にある者の就労について優遇措置が講じられています。
(令和5・4・14法務省令第24号=出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令及び出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令 ほか)
デジタル社会への対応
デジタル改革関連6法の一部の施行期日が定められ、地方公共団体情報システム機構が行なう特定署名用電子証明書記録情報の署名検証者への提供の方法が指定されるなど、デジタル社会の形成を図るための規定の整備が進められています。
(令和5・4・19政令第166号=デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行期日を定める政令 ほか)
携帯電話の利用拡大
携帯電話をドローンに搭載してのデータ転送など、携帯無線通信を行なう陸上移動局の一部の方式の上空利用を可能にするため、無線局免許手続規則と電波法関係審査基準が改正されています。
(令和5・4・20総務省令第40号=無線局免許手続規則の一部を改正する省令)
港湾運送事業の人手不足対策
湾港労働者が不足する一方、運航スケジュール等による業務量の変動で、労働者数と業務量のミスマッチが生じています。この状況を受けて、港湾運送事業法施行規則の許可基準が弾力化されています。
(令和5・4・21国土交通省令第41号=港湾運送事業法施行規則の一部を改正する省令)
労働安全衛生の確保
労働安全衛生規則等の改正を受け、SDS(安全データシート)で危険性・有害性等に関して通知義務のある化学物質について、営業上の秘密を保持しつつ必要な情報を通知するための成分の通知方法の見直しなどが行なわれています。
(令和5・4・24厚生労働省令第70号=労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令)