技能実習制度の見直しの議論が進んでいます。
出入国在留管理庁が設けた「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が中間報告書案をまとめ、新制度の創設を含めた見直しの方向性が示されました。
検討の視点
人手不足が深刻化するなか、外国人が日本の経済社会の担い手となっている現状を踏まえ、外国人を適正に受け入れ、日本で能力を最大限に発揮できる多様性に富んだ活力ある社会を実現する必要がある、という観点から、技能実習制度と特定技能制度が直面する様々な課題を解決したうえで、国際的にも理解が得られる制度を目指すとしています。
新たな制度の創設を検討
検討の基本的な考え方として、次の論点が挙げられています。
・制度目的と実態を踏まえた制度のあり方
・外国人が成長しつつ、中長期的に活躍できる制度(キャリアパス)の構築
・受入れ見込数の設定等のあり方
・転籍のあり方(技能実習)
・管理監督や支援体制のあり方
・外国人の日本語能力向上に向けた取組み
掲げられた論点のそれぞれについて、新たな制度の方向性が示されています。
「制度目的と実態を踏まえた制度のあり方」については、「人材育成を通じた国際貢献」という現状から、次の案が示されています。
・現行の技能実習制度は廃止して、人材確保と人材育成(未熟練労働者を一定の専門性や技能を有するレベルまで育成)を目的とする新たな制度の創設(実態に即した制度への抜本的な見直し)を検討
・特定技能制度は引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、行政の指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き議論
また、原則不可とされている「転籍」について、人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置づけることから、従来より緩和するとしています。
今後は中間報告書で示された検討の方向性に沿って、具体的な制度設計について議論が行なわれ、令和5年秋をめどに最終報告書がとりまとめられる予定です。これを受けて、関連する各法令等の改正が進められる見込みです。