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【総務インタビュー】Vol.1

中小企業の総務で30年以上! 会社にとってバックオフィスの価値とは?

[ 企業実務オンライン ]

『企業実務』の広報担当が、企業のバックオフィスで働く方々にインタビュー! 皆さまに「バックオフィスの魅力」をお伝えします。

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こんにちは。『企業実務』広報担当です。

特に中小企業の総務というと、業務の幅広さゆえに実態が見えにくいところがありますが、トップのブレーンとして会社経営の一翼を担う重要な部門です。

そこで、総務歴30年以上となる株式会社TOKの取締役管理部長・田沼さんへのインタビューを通して「総務はどのような取り組みをしているのか」「総務の役割とは何か」「理想の総務像」「総務のこれからの価値」に迫ります。

田沼さんの在籍する 株式会社TOKは、ロータリーダンパやベアリング等の部品メーカー。
「TAMAブランド大賞(首都圏産業活性化協会)」「時差Biz推進賞(東京都)」「健康経営優良法人2020(経済産業省)」「健康優良企業 金の認定(健保連東京連合会)」等、数々の賞や認定を受けており、多くのメディアに登場しています。



入社当時の総務は、「何でも屋」だった

─田沼さんの入社時、総務はどのような仕事をされていたのですか?

田沼:私は今の会社に総務担当者として25歳で入社しました。当時、社員は約140名くらいでした。その中で、管理部門は総務課しかなくて・・・人員も5名だけでしたね。

─5名ですか!わずかな人数でこなしていたんですね。

田沼:ですからなんでもやりましたよ。私が入ったときは、従業員の給与計算、売掛金の管理、照明や備品の発注、来客対応のみならず、運転手なんかもやってました(笑)それが総務の何でも屋と言われる所以で(笑)
人・モノ・カネに関するあらゆることを何から何までやってた記憶がありますね。

─仕事の内容がものすごく多岐にわたっていますね。

田沼:そうなんです。こなすべき仕事が多く大変な日々でしたね…。ともすると自らの立ち位置を見失いがちになりました。
ですので、自分の中で「何を吸収したいか・何を覚えたいか」が大切だと思いまいして、それこそ人の仕事を見て覚えて、「この仕事はどうなっているのか」を自ら考える意識を持って理解を深めていましたね。

 

 

 

目標は、人材育成の水平展開

─今は御社の総務でどのような取り組みを重視されているのですか?

田沼:まず、弊社の企業方針に「“企業は人なり”常に人材の育成を図る」があって、今の時代はやっぱり人材育成が一番大切だろうと。
それはトップの方針でもありますが、それを受けて総務はいかに社員に教育を浸透させるか、ということで、色々な試みをしていますね。

─人材育成の試みというのは、具体的にどのようなものでしょうか?

田沼:積極的に資格取得や自己啓発をしてもらうために、資格制度を作りました。
例えば、通信教育制度というのは、通信教育講座を年1回自由に受講できるようにしています。
最後まで講座を受けたら費用は全額会社負担で、事情があって最後まで受けられなかったら費用は半分自己負担にしています。

田沼:他には、会社が推奨する資格を取得した場合に受験費用とお祝い金を出したり、今後の会社のグローバル化を見据えて年2回TOEICを強制的に受けてもらって、760点、900点以上の得点で給料に反映させたり、という仕組みをしていますね。

─自分の頑張りが直接評価されるわけですものね…でも、受験費用や祝い金の出費に否定的な意見はなかったのですか?

田沼:それはないですね。
人に対する投資ですから、経費がもったいないということは一切なかったですね。
ありがたいじゃないですか。会社が教育をさせてくれて、費用も出してくれるなんて。先ほども申し上げたように、昔は「見て覚えろ」でしたからね(笑)

─人材育成に関して、今後の目標はありますか?

 
田沼:教育って一方通行じゃないですか。そうではなく、継続的に水平展開できるような仕組み作りが目標ですね。

田沼:例えば、通信教育を受けた人が部署に戻って今度は発信者となり、社内で情報を共有して、それを社員に浸透させていくような言わばナレッジ共有(組織内での知識やノウハウ共有)の仕組みですね。
そうしないと知識というものは、どうしても忘れてしまうし、一人だけ持っていても活用しづらくて勿体ないですよね。

─「受けた教育を水平展開する」という目標に向けて、始めた取り組みはありますか?

田沼:通信教育を受けた後に報告書を出すのですが、その受けた内容を業務にどう反映させますかという設問を新たに設けて、1~2週間以内にコメントしてもらって。さらに1か月後に、どう業務に活かせたかっていうフィードバックをさせるようにしています。
そういった形で、知識を継続的に広げていってほしいですね。

 

 

 

総務の役割は「会社の潤滑油」から「攻めの総務」へ

─時代によって、総務の在り方は変わっているのでしょうか?

 
田沼:昔の総務は、私からすると縁の下の力持ちのような、日陰にいる目立たないイメージがありましたね。やはり花形は技術や営業だったり。

田沼:今の総務は、部署間の潤滑油のような存在だと思っています。人間の体でいうと血液の流れのように、従業員全員に情報を共有化して、経営者の考える方向と従業員の考える課題をマッチングさせるという…。
ただ、経営者と従業員のクッション材のような役割になっているとは思いますが、集まる情報を活用できていないというか、守りに入っている部分はありますよね。

─では、理想の総務像はどのようなものですか?

 
田沼:よく言われていますけど、これからは「攻めの総務」ですね。

─「攻めの総務」とは具体的にどのような状態なのでしょうか。

田沼:例えば、総務は、すべてのデータや人の情報が集まってきて、会社の動きを一番把握できる部署なんです。
だから本当に目指したいのは、直接現場を見て歩いて、何が不調の原因なのか吸い上げて、それに対して数字やデータを元に分析し、全社的視野で提案できるような総務ですね。

田沼:まさに、戦略的に情報を駆使できる総務が理想なのかなって思います。

─確かに守りの姿勢ではありませんね。その分すごく難しそうです。

田沼:難しいと思いますよ。我々総務は、直接的に売上を伸ばせません。なので総務の観点から、会社の情報や営業がやっている仕事をどれだけ理解したうえで合理化して数字に反映させられるか、これが重要だと思っています。

─なるほど。会社全体を把握できていないと、経費削減や業務の合理化はできないですね。

田沼:他部署の問題をいち早く把握して改善を図ることができるのが、総務の強みであり、総務だからできることです。
そういう目に見えない利益を創出するような仕事を担っているからこそ、さらに「攻める」姿勢を大切にしたいですね。

 

 

 

総務は、人が担うことで価値が出る

─将来、総務の価値はどのように変化するでしょうか?

田沼:将来的に、総務や経理の仕事は機械化されて要らなくなる時代が来るんじゃないかって、ちょっと思いますね。経理業務などは既にかなりデジタル化が進んでますけど。
でも、すべての仕事が機械化できるものではないと思っています。

田沼:我々総務が現場をくまなく歩いて熱心に情報を吸い上げているというのを、従業員たちが見て、じゃあ総務のためになにかやってやろうとか協力しようとか、そういう熱い思いのようなものは、人間なら絶対あるはずなので。

田沼:やっぱり人間的なコミュニケーションによって生まれる信頼とかサービスというのは、必要不可欠だと思っています。

─機械だけでは、コミュニケーションによる信頼やサービスは生めないということですね。

田沼:コミュニケーションという意味で、最近総務で社長が従業員に向けて直接発信できるWebサイト(社内報)を構築したんです。
Webサイトでは、社長が自身の伝えたいことを話す動画を配信しているのですが、社長自身の表情や言葉を直接伝える事で、従業員の心に響きやすく熱量が伝わりやすいんですね。
こういう新しい取り組みも、人間的なコミュニケーションから生まれた仕組みですし、今の働き方に合わせたツールになっていると思います。

 

 

 
冒頭でも取り上げたように、株式会社TOKは、様々な分野で社会的な賞を受賞していますが、これも総務部門から各部署に働きかけ、仕掛けていった結果だそうです。

田沼:社会的な認知度が上がることで、ブランディングにもなりますし、何より良い人材が集まってくることにも繋がりますからね。

「攻めの総務」としての姿勢を感じた瞬間でした。

 

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