下半期の重要課題への取組み
3月決算の企業では、10月から下半期に入ります。上半期の業績をしっかりチェックし、年度収支計画の進捗状況を確認します。
新型コロナウイルス感染症の影響で業績が落ち込んでいるケースも多いと思われますが、現在の状況で採り得る最善の方法を検討しましょう。
年末にかけての資金需要と資金繰りのチェック
これから年末にかけては、大きな資金需要(年末商戦用の在庫の積増しと販売促進、賞与の支払いなど)が発生し、接待や贈答関係の小口の諸経費も増える時期です。ことしも新型コロナウイルス感染症の影響で、例年どおりには進まないことも多いはずですが、昨年の実績や下半期の売上計画・利益計画を勘案し、他部署の協力も得ながら、その内容と資金手当ての方法を綿密にチェックしましょう。
検討の結果、新たに借入れが必要となる場合は、早めに取引金融機関に働きかけることが大切です。
3月決算法人の中間申告の準備
3月決算で中間申告が必要な法人は、11月の決算応当日までに中間申告と納税を行ないます。
法人税の中間申告には、前事業年度の申告額の半分を納付する予定納税と、半年間を1事業年度とみなして仮決算を行ない、納付税額を算出・納付する方法があります。
ただし、仮決算した場合の法人税額が前期基準額(前事業年度の確定法人税額の2分の1)を超える場合は、予定納税による方法に限られています。
ことしも、新型コロナウイルス感染症の影響で中間申告の準備を進めることが難しかったり、納税資金が準備できなかったりするケースが考えられます。新型コロナ税特法による特例猶予はことしの2月1日で終了していますが、特例猶予以外にも、一定の要件を満たせば、納税の猶予等の適用を受けることができます。
32ページでは、滞納を回避するために活用できる「納税の猶予」「換価の猶予」について解説しています。
販促費用の支出
例年なら、秋から年末に向けては商戦が活発化し、様々な販促企画も実施されます。ただし、新型コロナウイルス感染症による影響で、上半期の売上が大きく落ち込んでいるケースも多いでしょう。その分を取り戻すためのセールなども考えられるところです。
通常、経理部門がこうした販促企画に直接的に関わることは少ないと思われますが、営業部門に資金面や節税面のアドバイスをするなど側面から支援することも大切です。
税務調査への対応
税務当局は7月から新しい事務年度に入り、秋口から税務調査が本格化するため、10月は1年のなかでも調査の多い時期といえます。業績にかかわらず、いつ税務調査を受けても対応できるように、証拠資料などを整備しておきましょう。