厚生労働省は、5年ごとに職業能力開発施策の基本方針を示した基本計画を策定しています。
このたび、令和3年度から令和7年度までの「第11次職業能力開発基本計画」が策定されました。
今回の計画では、次のような方向性が打ち出されています。
産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
Society5.0の実現に向けた経済・社会の構造改革の進展を踏まえ、IT人材など時代のニーズに即した人材育成を強化するとともに、職業能力開発分野での新たな技術の活用や、企業の人材育成の強化を図る。
労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援
労働市場の不確実性の高まりや職業人生の長期化・多様化などを踏まえ、労働者が時代のニーズに即したスキルアップができるよう、キャリアプランの明確化を支援するとともに、幅広い観点から学びの環境整備を推進する。
労働市場インフラの強化
中長期的な日本型雇用慣行の変化の可能性や労働者の主体的なキャリア選択の拡大を視野に、雇用のセーフティネットとしての公的職業訓練や職業能力の証明・評価ツールなどの整備を進める。
全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進
希望や能力等に応じた働き方が選択でき、誰もが活躍できる全員参加型社会の実現のため、すべての者が少しずつでもスキルアップできるよう、個々の特性やニーズに応じた支援策を講じる。
このほか、技能継承の促進、国際連携・協力の推進(技能評価システムの移転、技能実習制度の適正な実施)に関する施策を実施する。
また、新型コロナウイルス感染症の影響などで新たな施策が必要な場合には、本計画の趣旨などを踏まえて機動的に対応する。
今後、厚生労働省はこの基本計画に沿って職業訓練や職業能力検定などの職業能力開発施策を展開していく予定です。
都道府県もこの基本計画に基づき、それぞれの職業能力開発計画を策定し、今後の施策を展開していくことになります。
その他の新法令・通達
求職申込みの勧奨策に制限
求職の申込みの勧奨について、職業紹介事業者が求職者に「就職祝金」その他の名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することが禁止されました。
(令和3・3・2厚生労働省告示第61号=職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示、労働者の募集を行う者等の責務、労働者供給事業者の責務等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する件)
技能実習の対象職種拡大
技能実習の対象職種にゴム製品製造等が追加されました。
(令和3・3・16法務省・厚生労働省令第3号=外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
電子証明書の発行手数料引下げ
オンライン手続きの促進のため、商業登記電子証明書の発行手数料が2,500円から1,300円に引き下げられました(証明期間3か月の場合)。
(令和3・3・17政令第45号=登記手数料令の一部を改正する政令)
副業の労災についての整備
複数事業労働者の労災保険給付について、判断に迷いがちな点の取扱いが整理されています。
(令和3・3・18基管発0318第1号、基補発0318第6号、基保発0318第1号=複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る部分算定日等の取扱いについて)
若年者雇用対策の方針が定まる
青少年雇用対策の新たな基本方針が定められました。
(令和3・3・29厚生労働省告示第114号=青少年雇用対策基本方針を定める件)