副業でマンション経営のような不動産投資をする人も珍しくありませんが、オーナーの高齢化等によって賃貸住宅の管理が管理業者に委託されるケースが増えています。
一方で、管理業務の実施をめぐって、特にサブリース業者とオーナーや入居者との間で家賃保証等の契約条件の誤認などのトラブルが多発して社会問題となっており、対応が喫緊の課題となっていました。
そこで、ことし6月に可決・成立したのが、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律のポイント
この法律のポイントは、次の2つです。
①サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置
すべてのサブリース業者に対して、勧誘時に故意に事実を告げないなどの不当な行為の禁止、所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明などが義務づけられます。
また、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行なう者についても、勧誘の適正化のための規制の対象とされることとなりました。
②賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録が義務づけられます。
また、登録を受けた賃貸住宅管理業者について、業務管理者の選任、管理受託契約締結前の重要事項の説明、財産の分別管理、委託者への定期報告等が義務づけられます。
施行日は12月15日に
今回、この法律の①特定賃貸借契約の適正化に係る措置等に関する部分を施行するための政令等が定められました。
前述のポイントのうち、賃貸借契約の適正化に係る措置の施行日が令和2年12月15日とされました。
あわせて、特定賃貸借契約に係る書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承諾に関する手続き、その他所要の規定の整備が行なわれています。
その他の新法令・通達
派遣労働者への説明義務
派遣労働者として雇用しようとする労働者に派遣元事業主が説明を要する待遇の事項等に教育訓練等が追加されました。
(令和2・10・9厚生労働省令第170号=労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令)
環境保全の強化
すべての石綿含有建材を規制対象とするとともに、事前調査の信頼性確保などを目的とした大気汚染防止法の改正に伴い関係省令が整備されています。
(令和2・10・15環境省令第25号=大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行に伴う環境省関係省令の整備に関する省令)
技能実習の対象作業拡大
技能実習の指定作業に調理加工品製造、生食用加工品製造が追加されました。
(令和2・10・21法務省・厚生労働省令第7号=外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
高年齢者雇用のルール整備
高年齢者雇用安定法の改正に伴い、高年齢者就業確保措置の実施に関する計画の記載事項等が明らかになっています。
(令和2・10・30厚生労働省令第180号=高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
雇用保険に関する様式の変更
外国人雇用状況の届出事項として在留カードの番号が追加されたことに伴い、雇用保険被保険者資格取得届等の記載事項に在留カードの番号を追加する等の改正が行なわれてい
ます。
(令和2・10・30厚生労働省令第181号=雇用保険法施行規則の一部を改正する省令)