期央での収支計画の見直し
3月決算の会社では、9月までの上期の実績を踏まえて、年度収支計画とその進捗状況を検討します。
経理部門では、月次決算の実績・関連資料、景気見通しや業界動向などの各種データを揃え、年度計画達成に向けた取組みを強化したいところです。
利益確保のためには採算分析が欠かせません。製商品・得意先ごとの売上や利益への貢献度を検討しましょう。
また、在庫についても適正かどうかを確認し、不要なものは早めに処分を進めましょう。
全社的な経費では、事務機器賃借料、事務用品費、諸会費、慶弔費など1つひとつを点検し、予算対比の増減要因を分析することが大切です。
資金繰り計画の策定
下期の製造・販売計画に基づいて、年末、年度末までの資金繰り計画を策定します。とくに年末は、歳末セールや賞与の支給などもあるため、資金手当てには注意しなければなりません。
借入が必要になる場合は、金融機関に対し、早めに金額と時期を伝えましょう。「資金繰り表」「返済計画表」「業況説明書類」は、借入申込みに際して欠かせない資料です。
社内的には、収支計画などと対比させながら、何に資金を優先的に充当するかをチェックします。あわせて取引先の信用管理を徹底し、売掛金の完全回収に努めましょう。
レクリエーション費などの経理処理
会社が支出した社員のレクリエーション費用は、原則として「福利厚生費」として処理します。ただし、金額や使途によっては、税務調査などで問題になる可能性もないとはいえません。実施内容やスケジュールに関する資料は確実に保存しておきましょう。
また、夏から秋にかけては、地域の祭りや各種イベントが催されます。こうした行事などに対して支出した協賛金などの扱いにも注意を要します。
被災時の優遇税制の確認
9月1日は「防災の日」です。地震や火災、風水害など、非常時に対する備えを再確認しておきましょう。
会社や工場が被災して損害を被ったときには、納税の猶予など、税制上の優遇措置が活用できます。
災害により申告・納付等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限の延長を受けられます。
この手続きは、期限が経過した後でも行なうことができますので、被災の状況が落ち着いてから、最寄りの税務署に相談してください。
ことし6月の山形県沖を震源とする地震に係る被災中小企業・小規模事業者対策が講じられています。
また、個人の住宅や家財などが被災した場合には、その被害額は雑損控除の対象として一定額の所得控除を受けられます。被害額が資産の50%以上のときは災害減免法の対象ともなり、有利なほうを選択適用できることを、社員にアドバイスしておきましょう。
中間決算棚卸の実施
帳簿に記載された在庫と実際の在庫数量は本来一致しているべきものですが、盗難、紛失、記帳ミスなどの理由から差異が生じることがあります。
そこで、定期的に実地棚卸を行なう必要があります。一般的には決算期末に実施しますが、3月決算の企業が中間決算に際して棚卸を行なう場合は、9月中に実施することになります。
作業範囲、数え方、棚卸表への記入方法を担当者に前もって指示し、その理解度を確認しておくなど事前準備を万全にして効率よく進めましょう。
税務調査への対応
秋は新事務年度の方針に基づいて、税務調査が本格化する時期です。
常日頃から正しい処理をしていれば、過度に恐れることはありません。税務調査の打診があったときは、きちんと説明できるよう準備しましょう。
消費税率引上げ前の最終確認
10月1日より消費税率が引上げられます。それに伴い、軽減税率制度が導入され、消費税は8%と10%が併存する複数税率となります。そのため、区分記載請求書等保存方式が採用されて、従来の請求書の記載事項に加えて軽減税率の対象品目の特定と、税率ごとの合計金額を記載する必要があります。自社が取り扱う商品等が対象になるか否かを判断しておきましょう。
また、レジなどの買替えやシステム改修が必要な場合、その費用の負担をできるだけ減らすため、経費の一部を補助する軽減税率対策補助金制度があります。一定の条件を満たせば補助金を受ける対象となります。
26ページでは、対応漏れによるトラブルを防ぐための中小企業の「複数税率対応」チェックシートを紹介していますので、ぜひ活用してください。