パソコン等の情報機器を使用する作業の労働衛生管理は、平成14年通達「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」をもとに指導が行なわれてきました。
その後、タブレットやスマートフォンなどのモバイル情報機器の普及により、情報機器作業の範囲は拡大し、その形態も多様化しています。
そのような状況に対応するため、事業場が個々の作業形態に応じて判断できるよう健康管理を行なう作業区分を見直し、最新の学術的知見を踏まえたうえで、新たに「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」がまとめられました。
その主な内容は、次のとおりです。
対象となる作業
対象となる作業は、事務所において、パソコンやタブレット端末等の情報機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行なう作業(以下、「情報機器作業」)とされました。
また、本通達の別紙「情報機器作業の作業区分」を参考に、作業の実態を踏まえながら、産業医等の専門家の意見を聴きつつ、衛生委員会等で、個々の情報機器作業を区分し、作業内容・作業時間に応じた労働衛生管理を行なうこととされました。
対策の検討・進め方の留意点
対策を一律かつ網羅的に行なうのではなく、それぞれの作業内容や使用する情報機器、作業場所ごとに、健康影響に関与する要因のリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいて必要な対策を取捨選択することが必要とされました。
作業環境管理
①タブレット、スマートフォン等
目的とする情報機器作業に適した機器を適した状態で使用させることとされました。また、長時間、タブレット型機器等を用いた作業を行なう場合には、作業の内容に応じ適切なオプション機器(ディスプレイ、キーボード、マウス等)を適切な配置で利用できるようにすることが望ましいとされました。
②ソフトウェア
次のような要件を満たすものを用いることが望ましいとされました。
・ 作業上の必要性、作業者の技能、好み等に応じて、インターフェイス用のソフトウェアの設定が容易に変更可能であるもの
・ 操作ミス等によりデータ等が消去された場合に容易に復元可能なものであること
作業管理
作業者の心身の負担軽減のため、作業時間の管理や、作業内容や個々の作業者の特性に合った適切な作業管理を行なうこととされました。
その他の新法令・通達
派遣社員の賃金を見直し
正社員は勤続年数に応じて賃金が上がっていく実態を踏まえ、同様の能力や経験のある派遣社員の時給が同等以上になるよう義務づけられることとなりました。
(令和元年・7・8職発0708第2号=令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について)
日本貿易保険が民間損保と連携
中小企業の海外投資支援などを目的として、民間の損害保険会社等が提供する海外投資に係る保険について、民間損保が一定の保険料を支払う代わりに政府が出資する株式会社日本貿易保険(NEXI)が補償額の一部を肩代わりする「再保険」の仕組みを導入するなどの措置が講じられました。
(令和元年・7・12政令第56号=貿易保険法施行令の一部を改正する政令)
中小企業強靭化法が施行
「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(中小企業強靭化法)」(令和元年法律第21号)の施行期日が、2019年7 月16日とされ、施行に伴う関係政令の整備等が行なわれました。
(令和元年・7・12政令第57号=中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令 ほか)