厚生労働省が2017年に実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、パワーハラスメント(パワハラ)の予防・解決に向けた取組みを実施している企業は52.2%で、企業規模が小さくなるほど実施比率が低いという結果が示されていました。
今般、女性をはじめとする多様な労働者がより活躍できる就業環境を整備するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の一部が改正されました。
その主な内容は、次のとおりです。
女性の活躍推進
①一般事業主行動計画の策定・提出義務の対象が、常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。
②自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。また、301人以上の事業主については、情報公表項目が見直されます。あわせて、情報公表に関する勧告に従わなかった場合には、企業名の公表ができることとされます。
③女性の活躍推進に関する取組みが特に優良な事業主に対する特例認定制度「プラチナえるぼし(仮称)」が創設されます。
ハラスメント対策を国の施策に
国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)が明記されます。
パワハラ防止対策の法制化
①事業主に対して、パワハラ防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)が新設されます。あわせて、措置の適切・有効な実施を図るために必要な指針が整備されます。
②パワハラに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とされるとともに、措置義務等について履行確保のための規定が整備されます。
セクシュアル・ハラスメント等の防止対策の強化
①セクシュアルハラスメント(セクハラ)等に起因する問題に関する国、事業主および労働者の責務が明確化されます。
②労働者が事業主にセクハラ等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いが禁止されます。パワハラや、いわゆるマタニティハラスメント(マタハラ)についても同様の規定が整備されます。
この法律の施行日は、一部を除き、公布の日から1年以内です。