結婚に伴う改姓が、キャリアの分断につながるとして、昨今では、職場や社会において、旧姓を通称として使用する女性が増加しています。
それでもなお、契約や身分証明の際には、旧姓を使用できないことがボトルネックになっていました。
そこで、女性がより旧姓を使用しやすくなるよう、住民票、マイナンバーカード等へ旧姓(正式には旧氏(きゅううじ)といいます)の記載を可能にするための住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令が公布されました。
これにより、婚姻等で氏(うじ)に変更があった場合でも、従来称してきた氏をマイナンバーカード等に記載し、公証することができるようになりました。
その主な内容は、次のとおりです。
旧氏の定義
その者が過去に称していた氏であって、その者に係る戸籍または除かれた戸籍に記載または記録がされているもの
住民票、マイナンバーカード等に記載できる旧氏
①旧氏を初めて記載する際には、任意の旧氏を記載することが可能になりました。
・一度記載した旧氏は、婚姻等により氏が変更されてもそのまま記載が可能です。
・旧氏は、他市区町村に転入しても引き続き記載が可能です。
②氏が変更した場合には、直前に称していた旧氏に限り、変更が可能になりました。
③旧氏の削除は可能ですが、その後氏が変更した場合に限り、削除後に称していた旧氏の再記載が可能になりました。
旧氏記載の請求方法
旧氏(1人1つ)の記載を希望する者は、住所地市区町村に請求することとされました。
旧氏確認の方法
旧氏の記載を請求する者は、記載を求める旧氏がその者の旧氏であることを証明するため、当該旧氏が記載された戸籍謄抄本等を持参しなければならないこととされました。
この政令の施行日は、2019年11月5日です。
その他の新法令・通達
水道事業の休止・廃止基準定まる
水道事業の休止・廃止に際し、市町村への協議を要する地方公共団体以外の水道事業者が供給する給水人口の基準が「5,000人」と定められました。
(平成31・4・17政令第154号=水道法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令)
研究開発法人の出資に関する申請方法が定まる
研究開発法人が、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」第34条の6第2項に基づく出資に際して、認可を受ける際の申請方法等が定められました。
(平成31・4・22文部科学省令第18号=文部科学省関係科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
後期高齢者支援金の加算・減算制度に関する規定整備
後期高齢者支援金の加算・減算制度の適用対象について、所要の規定の整備が行なわれました。
(平成31・4・24政令第159号=前期高齢者交付金及び後期高齢者医療の国庫負担金の算定等に関する政令の一部を改正する政令)
強制不妊救済法が成立
旧優生保護法のもと障害者等に強制不妊手術が繰り返された問題で、被害者に一時金320万円を支給する強制不妊救済法が成立しました。
(平成31・4・24法律第14号=旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律)