安倍内閣総理大臣は2018年2月20日、経済財政諮問会議において「有効求人倍率が43年ぶりの高水準となる中で(略)深刻な人手不足が生じて」いるとし、「専門的・技術的な外国人受入れの制度の在り方について、早急に検討を進める必要がある」と述べていました。
これを受けて内閣官房や法務省を中心に検討を行ない、「従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある」として、外国人労働者の受入れを拡大する「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立しました。
その主な内容は、次のとおりです。
在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設
新たな外国人材受入れのための在留資格として、次の2つが創設されました。
①特定技能1号
不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識または経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認められません。
②特定技能2号
同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。1~3年ごとに更新可能で、更新回数に制限はありません。家族の帯同が認められます。
受入れのプロセス等に関する規定の整備
外国人材受入れのプロセス等に関して次の規定等が整備されました。
①分野横断的な方針を明らかにするための「基本方針」(閣議決定)に関する規定
②受入れ分野ごとの方針を明らかにするための「分野別運用方針」に関する規定
③具体的な分野名等を法務省令で定めるための規定
④特定技能外国人が入国する際や受入れ機関等を変更する際に審査を経る旨の規定
受入れ機関に関する規定の整備
特定技能外国人の報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、特定技能外国人と受入れ機関との間の雇用契約に関して、所要の基準を満たさなければならないとされました。
出入国在留管理庁の設置
法務省の外局として「出入国在留管理庁」が設置され、同庁の長を出入国在留管理庁長官とすることとされました。
この法律の施行日は、一部の規定を除き、2019年4月1日です。
その他の新法令・通達
イノベーション活性化のため「研究開発力強化法」を改正
日本の成長力と国際競争力の強化のためのイノベーション活性化を促すため、理化学研究所などの新たに19の研究開発法人のベンチャー企業への出資が認められ、研究開発資金を助成する基金を迅速に設置できるようになりました。
(平成30・12・14法律第94号=研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律の一部を改正する法律)
民間企業の新規参入を促すため漁業権制度を見直し
漁業法が約70年ぶりに抜本的に見直され、養殖などの漁業権において地元を優先するルールを撤廃して民間企業の新規参入を促すほか、乱獲防止のための資源管理を強化することなどが決まりました。
(平成30・12・14法律第95号=漁業法等の一部を改正する等の法律)
同一労働同一賃金に関するガイドラインを公表
正社員と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないのか、原則となる考え方と具体例が示されました。
(平成30・12・28厚生労働省告示第430号=短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)