年度後半に向けての資金繰り対策の確認
8月は夏休みや旧盆などの影響もあり、一般に営業活動は低調な時期です。その一方で、夏物商戦の仕入代金の決済時期に当たるなど、支出は例月並み以上になることが多いため、どうしても資金繰りがタイトになりがちです。
どこから、いつ、いくらの入金があるかをしっかり確認して、資金繰り計画を立てる必要があります。
なお、3月決算の企業では10月から年度後半に入ります。下期の売上・利益計画、資金計画の進捗状況や計画との乖離をチェックし、早めに対策を練りたいところです。
32ページでは、資金繰り表のしくみと情報共有のための有効活用法についてまとめています。
夏物商戦の売残り品の処理
8月も半ばを過ぎると、夏物商戦は終盤を迎えます。見込み違いなどにより売残り品が出た場合は、商品別に数量と金額をリストアップして評価損計上を判断し、計上する場合には証拠資料の整備などを行ないます。
通常と異なる特売セールなどでは、どうしても販売が最優先され、経理処理がおろそかになりがちです。税務上の留意点を再確認のうえ、ミスのない処理を心がけましょう。
12月決算法人の中間申告と納税
8月は、12月決算法人の中間申告・納税月です(申告期限は8月31日)。
中間申告には、前年度の確定法人税額の2分の1を納税する「予定申告」と、期首から6か月間(上半期)の利益・損失に基づいて納税額を計算する「仮決算」の2つの方法があります。
どちらを選ぶかは企業に委ねられていますが、一般的には、上半期の実績が前年同期と同様であれば予定申告を、著しく悪化している場合は仮決算を選ぶようです。
事務負担なども考慮して自社に適した方法を選びましょう(ただし、納税額によっては、予定申告に限定される場合もあります)。
夏祭りへの寄附などの処理
8月は、各地で夏祭りや納涼イベントが催されます。地域密着型の企業では、そうした行事に参加する機会も少なくないはずです。
その場合、会社が提供する社名入りのうちわやタオル、手拭いなどは、原則として広告宣伝費となりますが、現金の寄附や人員の派遣などで生じる費用は、税務上の問題が生じがちですから、注意が必要です。
たとえば、事業との関連性や支出の目的、供与のしかたなどによって、寄附金か交際費等かが区分されます。
中間決算棚卸の準備
3月決算法人のなかには、9月に中間決算棚卸を行なっているところも少なくないようです。
網羅的に効率よく進めるためには、段取りが大切です。棚卸の日程や人員が決まったら、早めに関係者にスケジュール調整や準備すべき資料などを指示しておくとよいでしょう。
税務調査への備え
確定申告の処理が一段落した7月は、税務署内で人事異動が行なわれます。それから業務の引継ぎ、調査法人の選定などを経て、本格的に税務調査に動き始めるため、毎年8月後半から11月は税務調査のピークを迎えます。
いつ税務調査が来ても対応できるよう、自社の処理を確認し、調査官が疑問をもちそうな点は、きちんと説明できるようにしておきましょう。
40ページでは、社員旅行を間違いなく福利厚生費として処理する方法について解説しています。