悪徳商法などによる消費者被害やトラブルは後を絶たず、近年では、判断能力の衰えにつけ込まれた高齢者が詐欺的な手口によって、被害にあうケースが増えています。
そこで、これまでの被害事例を踏まえて、消費者契約法の一部が改正されました。
主な改正内容は、次のとおりです。
取消しが可能な不当な勧誘行為の追加等
消費者が困惑して意思表示をしたときは取消しが認められることとなる行為に、次のものが追加されることとなりました。
社会生活上の経験不足の不当な利用
・不安をあおる告知……就活中の学生の不安を知りつつ、「このままでは一生成功しない、この就職セミナーが必要」と告げて勧誘など
・恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用……消費者の恋愛感情を知りつつ、「契約してくれないと関係を続けない」と告げて勧誘など
・加齢等による判断力の低下の不当な利用……認知症で判断力が著しく低下した消費者の不安を知りつつ、「この食品を買って食べなければ、いまの健康は維持できない」と告げて勧誘など
・霊感等による知見を用いた告知……「私は霊が見える。あなたには悪霊が憑いており、そのままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」と告げて勧誘など
・契約締結前に債務の内容を実施等……注文を受ける前に、消費者が必要な寸法にさお竹を切断し、代金を請求するなど
・不利益事実の不告知の要件緩和……「日照良好」と説明しつつ、隣地にマンションが建つことを告げず、マンションを販売した場合の故意要件に重過失を追加など
無効となる不当な契約条項の追加等
無効となる不当な契約条項に「消費者の後見等を理由とする解除条項」と「事業者が自分の責任を自ら決める条項」が加えられました。
事業者の努力義務の明示
条項の作成
事業者は、契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮するよう努めなければならないこととされました。
情報の提供
事業者は、個々の消費者の知識および経験を考慮したうえで、消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない
こととされました。
この法律の施行日は、2019年6月15日です。
その他の新法令・通達
食品衛生法の改正
広域的な食中毒への対策強化、事業者の衛生管理の制度化、健康被害情報等の把握、国際整合的な食品用器具等の規制整備、営業許可・届出制度の見直し、食品リコール情報の報告制度創設等が行なわれます。
(平成30・6・13法律第46号=食品衛生法等の一部を改正する法律)
農薬の安全性評価の見直し
現行の3年に1度の農薬再登録を廃止し、定期的に安全性を評価し直す再評価制度が導入されるとともに、ジェネリック農薬の登録申請が簡素化されることとなりました。
(平成30・6・15法律第53号=農薬取締法の一部を改正する法律)
東京五輪前後に祝日を移動
2020年に限って、「海の日」が7月23日に、「体育の日」が7月24日に、「山の日」が8月10日に移されることとなりました。また、同年より「体育の日」が「スポーツの日」に改称されることとなりました。
(平成30・6・20法律第55号=平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律ほか)
成人年齢を18歳に引下げ
2022年4月1日から、成人年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられることとなりました。
(平成30・6・20法律第59号=民法の一部を改正する法律)