厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」では、このほどテレワークや副業・兼業に関する見直し等を骨子とする報告書をまとめました。
テレワーク、副業・兼業に関する課題
テレワーク、副業・兼業に関する現行の課題としては、次のようなものが挙げられます。
①テレワーク(雇用型)
労働時間の適切な管理が重要ですが、育児や介護などで仕事を中抜けする場合の労働時間の取扱いや、半日だけテレワークを行なう際の移動時間の取扱いが明確にされていません。
②副業・兼業
現在、8割を超える企業では、自社での業務がおろそかになる、情報漏洩のリスクがある、競業・利益相反になる、などから副業・兼業を認めていません。
また、就業時間や健康管理の取扱いのルールがわかりにくいとの意見も多く聞かれます。
検討の方向性
これらの課題等について、以下の方向性で検討されました。
①テレワーク
・労働時間を適正に把握できる場合を明確化
・中抜け時間の扱いを整理
・部分的にテレワークを行なう際の移動時間の扱いを整理
②副業・兼業
・企業は合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化
・就業時間や健康管理、社会保険等の取扱いを整理
テレワーク、副業・兼業とも検討の方向性に沿った形で改正ガイドライン案と改正モデル就
業規則案が公表されました。
このほか、現行の労働基準法では、本業の後に副業・兼業を行なった場合、両者の労働時間を合算して法定労働時間を超過すると、基本的には副業・兼業の企業で時間外労働手当が発生します。
一方で、副業・兼業を認めれば、長時間労働を招きやすくなるなど、心身への悪影響も懸念されます。
これらについては、労働政策審議会で議論を重ね、労働基準法の改正をにらみつつ、早ければ2020年の国会に改正案を提出したいとしています。