総合物流施策大綱(以下、「物流大綱」といいます)は、日本の物流施策の中長期的な指針を示すものとして、政府が1997年から5回にわたって策定しているものです。
このほど、国土交通省の有識者による検討委員会で次期物流大綱に関する提言がまとめられました。以下、提言のポイントを紹介します。
(1)サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革
事業者間の連携等により物流のムラをなくし、スマートサプライチェーンの構築に資する環境整備が重要としています。
(2)物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現
サービスと対価との関係の明確化を図り、透明性を高めるための環境整備を進めるとしています。
(3)ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現
モーダルコネクト(輸送モード間の連携)の強化等により輸送効率の向上を図り、道路、海上、航空、鉄道の機能を強化するとしています。
(4)災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築
災害に強い物流システムを構築し、サプライチェーンの維持のための取組みを強化するとしています。
(5)新技術(IoT、ビッグデータ、AI等)の活用による「物流革命」
新技術の横断的な活用を通じ、飛躍的な効率性の向上とサプライチェーン全体での最適化を実現することが必要としています。
(6)人材の確保・育成、物流への理解を深めるための国民への啓発活動等
現場を支える人材の確保・育成に加え、物流の効率化・高付加価値化を図ることのできる提案力のある人材の育成等が重要としています。
政府は閣議決定後、この物流大綱を踏まえて総合物流施策推進プログラムを策定し、中期的な計画を公表する予定です。必要に応じて、関連法令の見直しにつなげる方針です。