創業や事業承継、または大規模な経済危機や災害に見舞われた際など、中小企業が事業を営むうえでは、様々な局面で資金需要が生じます。
そのような中小企業の多様な資金需要にきめ細かく対応し、経営改善・生産性向上を一層進める仕組みを構築することを目的に、中小企業信用保険法等が改正されました。
主な改正内容は、次のとおりです。
(1)中小企業信用保険法
①セーフティネットの強化
大規模な経済危機、災害等の事態に際して、あらかじめ適用期限を区切って迅速に発動できる新たなセーフティネットとして危機関連保証が創設されることとなりました。
従来の保証限度額とは別枠で、最大2億8000万円の保証枠が設けられます。
②小規模事業者への支援拡充
小規模事業者の持続的発展を支援するため、特別小口保険の付保限度額が、1250万円から2000万円に引き上げられることとなりました。
(2)創業・事業承継についての中小企業信用保険に関する法律
創業チャレンジを促すべく、創業関連保証の付保限度額が1000万円から2000万円に拡充されることとなりました。
また、事業承継の一層の促進のため、法の認定を受けた中小企業の代表者個人が承継時に必要とする株式取得資金等の資金が信用保険の対象とされることとなりました。
(3)信用保証協会法
①信用保証協会と金融機関の連携
中小企業に対する経営支援が信用保証協会の業務に追加され、その業務運営にあたって、信用保証協会と金融機関が連携する旨が規定されました。
②信用保証協会における出資ファンドの対象拡大
信用保証協会が地方創生に一層の貢献を果たすべく、事業再生ファンドだけでなく、創業や中小企業の経営改善の支援を目的とするファンドへの出資が可能となりました。
施行日は、公布の日から1年を超えない範囲において政令で定める日です。
その他の新法令・通達
一部高齢者の介護サービスの自己負担割合を拡大
年収340万円以上を目安に一定の所得がある高齢者が、介護サービスを利用する際の自己負担割合を2割から3割に引き上げることとされました。
(平成29・6・2法律第52号=地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)
特定の産業廃棄物の廃棄に電子マニフェストを義務付け
特定の産業廃棄物を大量に出す事業者に、電子マニフェスト(産業廃棄物管理票)の使用が義務付けられました。
(平成29・6・16法律第61号=廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律)
登録制度を導入し民泊を全国的に解禁
住宅に旅行者を有料で宿泊させるいわゆる「民泊」が、住宅宿泊事業を営む者に登録制度を設けることで解禁されることとなりました。家主は都道府県へ、仲介業者は官公庁への登録が義務付けられます。
(平成29・6・16法律第65号=住宅宿泊事業法)
重大犯罪は計画段階で処罰対象に
殺人等の重大な犯罪の実行を2人以上で計画し、その計画をした者のいずれかが現場の下見や資金調達等の準備行為をしたときは、その段階で処罰の対象とされることとなりました。
(平成29・6・21法律第67号=組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律)
性犯罪の厳罰化
性犯罪に関する刑法が110年ぶりに大幅改正されました。強姦罪を強制性交等罪に名称変更して男性も対象とするとともに、法定刑の下限を5年から6年に引き上げ、「親告罪」規定を削除しました。
(平成29・6・23法律第72号=刑法の一部を改正する法律)
農業収入の減少を補填する保険制度を確立
農業災害補償法を農業保険法に名称変更し、災害その他の不慮の事故や、農産物の需給の変動等による農家の収入減少を補填する農業保険の制度を確立する等の措置が講じられることとなりました。
(平成29・6・23法律第74号=農業災害補償法の一部を改正する法律)