我が社では、結婚・出産を機に退職をする女性社員が多く困っています。
結婚・出産をしても女性社員に仕事を続けてもらうためにはどうすればいいでしょうか?
結婚・出産した女性社員が仕事を続けている会社には、「残業や休日出勤が少ない」「年次有給休暇(有休)が取りやすい」といった特徴があげられます。
結婚・出産を機に女性が「辞める会社と辞めない会社」の違い
筆者が社会保険労務士としてお仕事をいただいている会社は、社員数20~100名程度のいわゆる「中小企業」が中心です。お客さまである会社を見ていると、同じ中小企業でも、結婚・出産した女性社員が仕事を続けている会社と、20代の女性社員は数多くいるのにも関わらず、結婚・出産後も仕事を続けている女性がまったくいない会社もあります。
そのような社内環境の差はどこから生まれるのかと考えたとき、女性社員が仕事を続けている会社には、次の3つの特徴があることに気がつきました。
女性社員が仕事を続けている会社の特徴
① 残業や休日出勤が少ない
② 年次有給休暇(有休)が取りやすい
③ 結婚・出産後に仕事を続けている女性社員が複数いる
出産については、「近くに両親がいる」など個人の状況も、退職するかしないかの判断に影響する面があるでしょう。しかし、そうした個人的な事情もさることながら、まずは「出産したあとでも働くことができる会社か」を見極めてから、「いまの会社を退職するか」を決めるケースが多くなっているようです。
その際、先にあげた3つの特徴でいうと、男性社員も含めた職場全体の雰囲気が①②をクリアしていることがポイントになります。
残業が少なく、多くの社員が定時で帰るような会社であれば、誰に気兼ねすることなく会社を出ることができます。また、社員みんなが平均的に有休を取れるような職場では、「営業日に誰かが休んでも仕事が回る仕組み」ができているということですし、有休を取れない人から「いつも、あの人だけ休む」などといわれなくてすみます。
なお、有休は時間単位とまではいかなくても、半休(半日単位)の取得が可能な会社のほうが有休の取得率は上がるケースが多いようです。
子どものいる女性が働いている会社はみんなが働きやすい
女性社員が結婚・出産で退職しない会社は、他の社員にとっても、家庭や個人の趣味等との両立がしやすい会社といえそうです。
結婚・出産後に仕事を続ける女性社員がいない会社=「働きにくい会社」とまではいえませんが、現在では、就活のときに会社を選ぶポイントの1つになっています。
新卒採用の際、育児休業の取得率等は女子学生に必ず聞かれる項目です(今後は、男子学生からも聞かれるかもしれません!)。
該当する女性社員がまったくいないような会社は、一度、自社の労働環境(労働時間や有休取得率)を見直してみてはいかがでしょうか。
「労働時間等の労働条件が悪いこと」は、男女ともに離職理由の第1位です(厚生労働省「雇用動向調査」平成26年。定年退職・期間満了による退職を除く)。
すなわち、結婚・出産後に女性が働き続けることができる労働環境が整備されている会社は、社員全体の離職率も低いと考えられます。
- ▼連載「女性社員のトリセツ」
本記事は、『トラブルにならない小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)より内容を抜粋し、企業実務オンライン用に再構成したものです。
『トラブルにならない小さな会社の女性社員を雇うルール』
井寄 奈美 著 日本実業出版社 発行 四六判 224頁 定価1,500円(税別)
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