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新人経理担当者のための仕事術 第12回(最終回)

「会計直感力」を養うために欠かせない8つの視点

[ 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士)]

「経理」という仕事はじつに奥深く、会社の根幹を支える大事なものです。本連載では、「豆を仕切れる人」になるために、これだけはぜひ知っておいてほしい経理担当者のリテラシーについてお伝えしていきます。

新人経理担当者のための仕事術

趨勢分析・他社比較し、課題を抽出

 本連載も今回で最終回です。4月には新人経理担当者だった皆さんも、だいぶ経理の仕事に慣れてきたことでしょう。
 そこで、連載の最後に、「豆を仕切れる人」にステップアップするためのヒントをひとつお伝えしたいと思います。

 それは、「会計直感力」を養うことです。

 様々な切り口で数字を見ることができると、新たな発見につながります。
 各種指標から時系列で分析する趨勢分析、同業との他社比較で、経営の実態を把握しましょう。
 売上高対前年比(=〈当期売上高−前期売上高〉÷前期売上高)のような同一項目の趨勢を見る増減率は分析の基本です。

 構成率も欠かせません。
 自己資本比率(=自己資本÷総資本)のようなB/S構成比(*)、利益率(粗利率・営業利益率・経常利益率・資本利益率・付加価値率など)や原価率(売上高原価率、人件費率など)のようなP/L構成比(*)にも注目してください。

*B/S構成比…総資本を100とした場合の各資産・負債・純資産項目の比率
*p/L構成比…売上高を100とした費用や利益等の比率

 B/SとP/Lの相関関係に着目することもポイントです。
 在庫回転率(=売上高÷在庫の平均残高)でインプットした在庫が売上としてアウトプットされるスピードを見る、利息のオーバーオールテスト(=支払利息÷借入金の平均残高)でP/L(フロー)の利息とB/S(ストック)の借入計上額の妥当性を検証することも、実態把握に欠かせません。

 こうした経営分析手法も、身につけるようにしましょう。

ビジネスの「オモテ×ウラ」を見る8つの視点

 数字と漢字の塊にしか見えない決算書を解きほぐし、必要なことを必要な人に伝えるには、次の8つの視点が欠かせません。最後に、「会計直感力」を養うために大切な8つの視点をご紹介しましょう。

  1. 鳥・虫・魚の目 数字はザックリと、必要に応じ詳細に、流れも見る
  2. フローとストック P/L項目のみならず、決算書は全体で把握
  3. バランスとスピード B/S項目で財務安全性を見ることも大事
  4. キャッシュとプロフィット 利益が回収されてこそ本当の儲け
  5. 単体と連結 組織力を見るには、個別(単体)とともに連結も重視
  6. P×Q 勘定科目は、Price(単価)×Quantity(数量)に分解可能
  7. IN=OUT 非財務指標も含め、入ったものは必ず出る点に留意
  8. VCとFC 変動費(Variable Cost)と固定費(Fixed Cost)が管理の基本
▼連載「新人経理担当者のための仕事術」

本記事は、『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』(日本実業出版社)より内容を抜粋し、企業実務オンライン用に再構成したものです。

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』
村井 直志 著 日本実業出版社 発行 A5判 208頁 定価1,400円(税別)

経理に配属された新人が「即戦力」になるために必要な基本知識を解説

「経理部に配属されたものの、仕事の全体像や実務がよくわからない」という人向けに、会計・税務に関する基本事項のほか、業務をするうえで必要不可欠なエクセルの活用術を解説。
即戦力となる経理担当者に必要なスキルが、この1冊で身につきます。

著者 : 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士) 中央大学商学部会計学科卒。税務事務所、大手監査法人、コンサルファーム、東証上場会社役員などを経て、公認会計士村井直志事務所を開設。ビジネスにまつわる「数字」をわかりやすく伝承するアカウンティング・キュレーターとして、経営コンサルティング・監査・不正調査のほか、セミナー・執筆を行う。
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