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50歳からのキャリアプランニング 第8回

「PDCAサイクル」と「社会人基礎力」でオリジナルキャリアを描こう

[ 渡辺 葉子<わたなべ・ようこ>(特定社会保険労務士)]

いよいよ「定年」が現実のものとして意識され始める50歳。残りの会社員生活と同じかそれ以上に長い「定年後」の人生を自分はどのように生きたいのか。50歳の今こそ、将来に向けたキャリアプランニングが大切です。

50歳からのキャリアプランニング 第8回 「PDCAサイクル」と「社会人基礎力」で“オリジナルキャリア”を創ろう!
 時節柄、新入社員研修をさせていただく機会がよくあるのですが、その際に必ずお話しすることがあります。

 それは、「キャリア」について。

 そういえば、50歳前後の社員を対象にした研修でも、「キャリアデザイン」と称して、自分の仕事人生を顧みてさらに先に進む人生設計を促す研修があり、かなり需要があるようです。

50歳にとっての「キャリア」とは?

 「キャリア」とは何でしょう。

 キャリアとは、仕事だけではなく、その人の人生そのものだと私は考えます。人生の中で積み上げてきた価値観や経験など自分の生き方そのものが、その人にとってのキャリアです。

 「私にはキャリアがない」という人がいますが、そんなはずはありません。誰にだって、その人なりのキャリアというものが、必ず、あります。なぜなら、何の経験もなく生きることなど不可能だからです。そして、より充実したキャリアを積み上げるためには、自分らしい生き方や経験を積むことが不可欠です。

 自分はどう生きたいのか?
 そのためには何をすればよいのか?

 自分らしく生きるためのプランを立て、実行する。そして、常時は無理かもしれませんが、正月や誕生日などを節目にいったん立ち止まり、見直す。必要に応じてプランを立て直す

 そう、これはかの有名なPDCAサイクルです!

 強いて言えば、人生のPDCAサイクルは次のようなものになります。

人生のPDCAサイクル

 50歳からのキャリアプランニングを考える方も、初心に戻ってもう一度、このPDCAサイクルを始めてみてください。

 経験したことを整理して次につなげる。このPDCAサイクルを回すことによって得られる最大の成果は何か、ご存じでしょうか? それは、

 「過去の失敗を繰り返さない」

 ということです。

 まだまだ先が長いとはいえ、50歳と新入社員とは違います。これからの人生をプランニングするとき、「失敗を繰り返さない」ことは大きなメリットです。

 こう考えると、新人研修で行うことには、人生のどのポイントにおいても役立つものがありそうです。そこでもうひとつ、社会人基礎力についてもご紹介しましょう。

「社会人基礎力」を磨いて人生を豊かに!

 「今さら社会人基礎力?」などと侮るなかれ。人間、歳を取るとつい面倒になったり、臆病になったりして“基礎”をおろそかにしがちですが、実はこの社会人基礎力こそ、より充実した人生を送るための原動力となるのです。

 ということで、社会人基礎力です。これは経済産業省が仕事に必要な力として謳っているものです。

 社会人として仕事をするには、読み書きなどの「基礎学力」と仕事に必要な知識や資格等の「専門知識」が必要になります。しかしながら、それだけでは足りません。
 この基礎学力や専門知識を活かす力(社会人基礎力)が重要になります。

■社会人基礎力

社会人基礎力とは、「多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」のことで、基礎学力や専門知識を活かし、仕事をするうえで重要な力

社会人基礎力
出典・経済産業省 社会人基礎力

 具体的には、社会人基礎力は3つの能力12の要素で構成されています。

■社会人基礎力の3つの能力/12の要素

社会人基礎力の3つの能力/12の要素
出典・経済産業省 社会人基礎力

 いかがですか? これらの能力が大事なのは仕事だけではなく、人生を有意義に過ごすためにも大切な能力といえるのではないでしょうか。例えば、

  • 前に踏み出すアクションがなければ、いつまでたっても現状のままダラダラと倦怠感が生まれます。
  • 変化のない生活に、生き甲斐がないと思うようになるかもしれません。
  • そうならないためには、前に踏み出す力が大切です!
  • 考える力を発揮しなければ、だんだんと考えることが億劫になり、記憶力も落ちてきます。
  • ふとした時に自分の記憶力の低下に焦りを感じます。落ちこんでしまうでしょう。
  • そうならないためには、考え抜く力を失わないことです!

 そして、人は1人では生きていけないもの。充実した人生を送るには、パートナーや友人、地域との繋がり(チームで働く力)などが大事です。“きょういく・きょうよう(今日行く所がある。今日用事がある)”はリタイア世代の合言葉ですが、それも社会との繋がりがあるからこそ実行できることでしょう。

自分だけのキャリアづくりを始めよう

 こうして考えてみると、いつの年代も、より充実した人生を送るために心すべきことは同じだということがわかります。

 仕事は人生の中で大きな時間・要素を占めますが、人生はそれだけではありません。
 人生=キャリアと考えるとき、社会に出たばかりの新人と同じように、自分のオリジナルキャリア(生き方)を考え、PDCAサイクルで回す。と同時に、社会人基礎力を養う(発揮する)ことを忘れない。

 このようにマインドチェンジをするだけでも、現在過ごしている時間が、昨日よりもずっとイキイキと感じられてきませんか。

 これまでは、自分自身の生活や守るべき家族のために、自分の楽しみを二の次にして働き、生きてきたかもしれません。でもこれからは、“自分”を中心に人生を考えることができるのです。人生のほぼ半分を超えたところで、これまでとはひと味違ったキャリアづくりを目指す——。

 なんだかワクワクしてきませんか!

 そういう意味では、新入社員に似て、これからの人生のスタートラインに立っている。50歳はそんな世代かもしれません。

▼連載「50歳からのキャリアプランニング」
著者 : 渡辺 葉子<わたなべ・ようこ>(特定社会保険労務士) YWOO株式会社代表取締役社長。日本年金学会正会員。損害保険業界に5年間、派遣業界に15年間勤務の後、2006年起業独立。企業の人事コンサルティング、営業支援コンサルティング、バックオフィスアウトソース受託業、執筆、出版社・公的機関等にて社会人・実務者セミナー講師、企業内研修(人材育成)企画・講師を務める。
http://www.ywoo.co.jp/
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