賃貸でも購入でも、不動産取引の際には、宅地建物取引士(4月1日より宅地建物取引主任者から名称変更)と対面して重要事項の説明を受けなければなりません。
確かに、不動産取引は高額な金銭が絡むことも多く、慎重に行なうに越したことはないでしょう。
しかし一方で、重要事項を対面で説明するといっても、現実にはただの儀式になっているケースが多く、とりわけ、遠隔地の取引の場合には費用も時間もかかりすぎる、といったことが弊害として指摘されています。
そこで、ITを活用して不動産取引を簡略化できないか、昨年4月から「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」で話し合われてきました。
その結果、法人間取引と個人の賃貸契約において、社会実験ののち問題がなければ、不動産会社が取引条件などの重要事項をテレビ電話でも説明できるようにする方針を決定しました(個人の売買は、特に丁寧な説明が必要として除外)。また、重要事項説明書や契約書などの書面交付もネットを介して行なえるようにする方向で検討するとしています。
ことしの夏ごろからテレビ電話による取引の社会実験などを行ない、半年に1回程度検証し、問題がなければ不動産取引へのIT活用を本格運用します。個人の売買取引については、賃貸取引と法人間の売買取引の結果を踏まえて、実験または本格運用することを検討するとしています。
とはいえ、重要事項の説明は複雑なため、「ITツールで十分に内容を伝えられるのか不安」「なりすましや名義貸しなど違法取引が増える危険がある」といった指摘もなされており、実現には、まだまだ時間がかかることが予想されます。