まずは「雇用契約書」と「就業規則」を確認!
意図せず会社側から契約更新を打ち切られたり、または契約期間の途中で解約され、やむを得ず退職せざるを得なくなった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
まずやるべきことは、「雇用契約書」と「就業規則」の確認です。
会社が社員を雇用する際に書面で明示しなければならない事項のうち、
② 有期労働契約を更新する場合の基準
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
について確認しましょう。以下のケースで、何を確認すべきか説明します。
なお、派遣社員については、派遣先ではなく派遣元の規定、契約書を確認してください。
ケース1 契約期間途中での一方的な契約打ち切り
雇用期間に定めがある契約の場合、契約期間途中での解約は、よほどの事情がなければできません。会社側からの申し出の場合、「よほどの事情」というのは、前述の③の退職に関する事項のうち、「解雇の事由」に記載されています。
「会社が急に経営不振になったとき」「欠勤・遅刻等が多いとき」「周りの社員とトラブルばかり起こすとき」「業務の処理能力が著しく低いとき」などが解雇の事由として記載されているはずです。
まずは契約期間の途中で契約解除を行なう理由を会社に聞き(できれば書面で通知してもらう)、合意ができない場合は、法律上は会社側からの一方的な労働契約の解除である「解雇」の扱いになります。
なお、解雇については、労働契約法16条に定めがあるように、相当な理由がないとできない、とされています。解雇の理由にどうしても納得がいかない場合は、まずは会社の担当者と話し合い、理由を必ず書面でもらうようにしましょう。
書面での解雇理由の提示は、労働基準法22条により会社に義務づけられています。
会社との話し合いで解決ができない場合、労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーで相談をする(無料)、もしくは弁護士などに相談をする(有料)などの方法が考えられます。
さらに、解雇である場合は、契約打ち切り日の30日以上前の予告、もしくは、即時解雇の場合は30日分以上の平均賃金の支払いを求めましょう(労働基準法20条)。
ケース2 契約期間満了での契約の打ち切り
そもそも契約を締結した際の契約書に「今回の契約で終了」「契約の更新はしない」など、明らかに契約更新の予定がない旨が記載されている場合は、残念ながら受け入れざるを得ません。
それ以外の場合は、「契約更新をする場合の基準」を確認したうえで、更新がなされないとするのであれば、具体的に何が該当しなかったのかを人事担当者に聞いてみましょう。雇い止めがなされた場合は、その理由を書面で求めることができます。
契約解除もしくは契約更新がなされなかった理由に納得がいかない場合、まずは人事担当者と話し合いをしましょう。それでも解決しない場合は、労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーなど、行政機関に相談する方法もあります。
出典:『2015-2016「転職・退職」会社を辞める時の手続き完全ガイド』(日本実業出版社)
『2015-2016「転職・退職」
会社を辞めるときの手続き完全ガイド』
日本実業出版社 編
A4変型判/並製 価格 1,512円(税込)
ISBN 978-4-534-60315-9
他人には聞けない転職・退職時の各種手続きについて、雇用保険、健康保険、年金、税金のパートごとにわかりやすく解説。
◆章立て◆
[わかってしまえば意外にカンタン!]すっきり辞める手続き一覧
[タイプ別・あなたはこうすればいい!]退職前後の手続きフローチャート
[これで安心!]あなたの疑問にズバリ答えるQ&A
PART1 [記載例つき!退職前後の手続き]雇用保険をしっかりもらおう
PART2 健康保険にカシコく入るコツ
PART3 年金で万一のときにも備えよう
PART4 税金を払い過ぎたら取り戻そう
特別記事 転職・退職のテクニック