すべての業務で派遣期間の上限が「3年」に
労働者派遣法が改正されました。派遣社員として働く人は注意が必要です。
改正の大きなポイントは、「期間制限」のルールが変更されることです。
これまで、「専門26業務」に携わる派遣社員は、派遣期間の上限がありませんでした。ところが、今回の改正で、専門26業務とそれ以外の業務(「自由化業務」)の区分けが廃止されました。
また以前の「自由化業務」で「同じ業務では最長3年」とされていた制限が、すべての業務において「同じ労働者では最長3年」と、派遣期間の上限が定められることになりました。ただし、派遣元と無期契約を締結する「無期雇用派遣」では、3年の期間制限は適用除外になります。
すなわち、整理をすると、「期間制限」のルールが、これまでの「業務単位」から「人単位」に見直され、旧「専門26業務」であろうと旧「自由化業務」であろうと、派遣元と有期雇用契約を結んでいる派遣労働者については、「同一の組織単位」において3年を超えて継続して派遣就業はできなくなるというルールになります。
加えて、事業所単位の「期間制限」のルールとして、有期雇用派遣労働者を同一事業所で3年を超えて継続して受け入れる際には、過半数組合員(過半数代表者)の意見を徴収することも義務づけられました。
これまで以上に「スキルアップ」が大事
派遣法の改正により、これまで「専門26業務」に携わっていた派遣社員は、改正法の施行日(2015年9月30日)以降は、3年を超えて同じ部署内で勤務をすることができなくなりました(派遣元と無期雇用契約を結んでいる場合等は除きます)。
そこで派遣元企業に対しては、これらの派遣労働者に対して、
① 派遣先への直接雇用の依頼
② 新たな就業機関(派遣先)の提供
③ 派遣元事業主において無期雇用 など
以上のような施策をとり、派遣社員の雇用安定に取り組むことが義務づけられています。
これまで専門26業務に従事していた派遣社員の方は、今後は3年以内の契約が繰り返されることになることを念頭において、派遣元企業が実施する教育訓練の機会などを利用して、自らのスキルアップに努めるようにしましょう。
出典:『2015-2016「転職・退職」会社を辞める時の手続き完全ガイド』(日本実業出版社)
『2015-2016「転職・退職」
会社を辞めるときの手続き完全ガイド』
日本実業出版社 編
A4変型判/並製 価格 1,512円(税込)
ISBN 978-4-534-60315-9
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◆章立て◆
[わかってしまえば意外にカンタン!]すっきり辞める手続き一覧
[タイプ別・あなたはこうすればいい!]退職前後の手続きフローチャート
[これで安心!]あなたの疑問にズバリ答えるQ&A
PART1 [記載例つき!退職前後の手続き]雇用保険をしっかりもらおう
PART2 健康保険にカシコく入るコツ
PART3 年金で万一のときにも備えよう
PART4 税金を払い過ぎたら取り戻そう
特別記事 転職・退職のテクニック