法務省はこれからの出入国管理行政の基本となる「第5次出入国管理基本計画」を策定しました。
第4次計画に基づく施策は着実に実施してきた、と分析したうえで、今後の5年間はこれまでとは異なる状況があるとみています。たとえば東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、訪日外国人旅行者の増加が見込まれます。また、建設分野への外国人労働者受入れを緊急的・時限的措置として行なうこと、不法残留者や制度濫用的な難民申請者対策なども新たな課題となります。
6つの基本方針
そんななか、これからの出入国管理行政の基本方針として、次の6つが挙げられました。
①我が国経済社会に活力をもたらす外国人を積極的に受け入れていくこと
②開発途上国等への国際貢献の推進を図る観点から、新たな技能実習制度を構築すること
③受け入れた外国人との共生社会の実現に貢献していくこと
④訪日外国人の出入国手続を迅速かつ円滑に実施することで観光立国の実現に寄与すること
⑤安全・安心な社会の実現のため、厳格かつ適切な入国審査と不法滞在者等に対する対策を強化していくこと
⑥難民問題については、国際社会の一員として、適正かつ迅速な庇護の推進を図っていくこと
必要な人材は積極的に受入れ
現在の在留資格や上陸許可基準に該当しなくとも、専門的・技術的分野と評価できるものについては、幅広い視点で検討し、在留資格や上陸許可基準の見直し等を行ない、必要な人材の受入れを進めていけるよう、出入国管理行政を柔軟に展開していくとしています。
技能実習制度についても、人権保護については対応を強化していきつつ、現行では最大3年間の技能実習期間の延長もしくは再技能実習を認める、対象人数や対象職種を拡大する方向の見直しを行ないます。
一方でテロリスト等の入国を確実に阻止するための水際対策の強化、難民の認定判断の明確化と制度の透明性の向上といったことも図られます。
在留期間の延長も検討
また、この計画の策定と前後して、経済財政諮問会議で民間議員から提出された「経済の好循環の拡大・深化に向けたアジェンダ」でも、生産性の向上に向けた取組強化のひとつとして、外国人材の積極活用を掲げています。そこで企業内転勤・技術等で働く外国人材の滞在期間を最大8年に(現行5年)、と提案されており、甘利明特命担当大臣は会議で総じて好意的に受け止められていた、とコメントしています。
そして、こうした施策で入管法の改正が必要なものについては、来年の通常国会で検討される模様です。