スマホで撮った写真をブログに公開したいのですが、肖像権が気になります。

- 質問者
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街中で撮った写真をネット上に公開したいと思っています。肖像権に気をつける必要があることは知っていますが、詳しくはよくわかっていません。
肖像権とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。
- 弁護士
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人物を撮影してその写真をネット上に公開する場合には、プライバシー権の一環として認められる「肖像権」について注意する必要があります。スマートフォンの普及によって、手軽に写真が公開できてしまうため、肖像権を侵害しているケースは少なくないものと思われます。
- 質問者
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どういう場合に、肖像権を侵害することになるのでしょうか。
簡単に言うと、肖像権とは「自分の顔や姿を勝手に撮影されたり公開されたりしない権利」です。

- 弁護士
- じつは、肖像権について具体的に定められた法律はありません。肖像権は、判例の中で認められるようになり定着した権利なのです。
- 質問者
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仮に自分の肖像権を侵害されたときは、どういう対応が考えられますか?
- 弁護士
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肖像権を侵害された側としては、違法性の程度により、差止請求(ネット上の画像の削除等)や損害賠償請求(生じた精神的苦痛に対する慰謝料の請求)が認められます。
判例上、「人は、みだりに自己の容貌等を撮影されないということについて、法律上保護されるべき人格的利益を有する」とされています。
これが肖像権と呼ばれている権利です。
肖像権を侵害しないために、どんな点に気をつければいいのでしょう?

- 弁護士
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後述の通り、承諾がない場合でも適法に人物の撮影や公開ができる場合もありますが、被写体の事前の同意(許諾)を得ることが原則です。
同意を得る際には、次の2つの点に気をつけましょう。1 書面やメールなど証拠に残る形で同意を得ること
2 同意の範囲を明確にしておくことどのような契約でも同じですが、後になって揉めやすい事項は事前に明確にしておくことが鉄則です。
肖像権については、単に写真撮影の同意を得るのではなく、どういった用途で利用するかについて、あらかじめ説明することが重要です。特に、営利目的での公開や、不特定多数の目に触れる場所での公開を予定している場合に、「そんな使い方をされるとは思わなかった!」といったトラブルが生じやすいので気をつけてください。
- 質問者
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でも、観光地などで撮った写真には、たくさんの人が写ってしまうことがあります。それらの人すべてから承諾をとる必要があるのですか?
他人の顔や姿が写っている写真の撮影や公開が、常に肖像権の侵害となるわけではありません。

- 弁護士
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承諾をとらなくても、適法に人物の撮影や公開ができる場合もあります。
街中で撮影した写真に人物が写り込んだ場合等、他人の顔や姿が映っている写真の撮影や公開が、常に肖像権の侵害となるわけではありません。侵害となるかは、撮影される側の性質、撮影場所、撮影目的、撮影の態様・必要性などの諸事情を総合考慮して判断されます。
また、撮影されることが十分に予測されるような場である場合には、黙示の承諾があったと解釈される場合もあります。
もっとも、銀座を歩く姿を撮影・公開した行為について、諸事情の総合考慮の結果、肖像権の侵害を認め、損害賠償請求が認められた事例があります。単に人に見られる状態であったからといって、撮影についてまで黙示の承諾があったものとはいえません。 - 弁護士
- 質問者
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街中で撮った有名人の写真をブログに載せることには問題ないですか?
- 弁護士
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有名人の肖像については、プライバシー権としての肖像権とは別途、財産的権利としての肖像に関する権利(パブリシティ権)が認められる場合があるので、許諾なく写真を用いるには注意が必要です。
また、無料の画像素材サイトから画像を引いてくる場合には、利用規約をよく読み、どういった利用であれば自由なのかを把握する必要があります。
営利目的等、一定の場合には無料ではないとされており、トラブルになるケースが少なくありません。 - ▼連載「弁護士が教える「ネットの法律&マナー」講座」
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- 第11回 「プライバシー権の侵害」とは? 店内の様子をブログに投稿する際、どんな注意が必要か?
- 第10回 街中で人気アーティストに遭遇! スマホで撮った写真をブログにアップしても問題ない?
- 第9回 顧客の購買情報など「ライフログ」を取得・利用したい。どんな点に注意が必要?
- 第8回 知人のコンサートや試合の動画を投稿するときも、著作権や肖像権が関係してくる?
- 第7回 ネット上で素敵な写真を見つけました。自分のサイトに転載してもいい?
- 第6回 他社の商標を“検索連動型広告のキーワード”や“メタタグ”に使いたい…
- 第5回 どんなケースが「肖像権の侵害」に? 具体的に気をつけるべきポイントは?
- 第4回 ステマに注意! 企業から頼まれて商品レビューを書く場合に気をつけたいこと
- 第3回 告訴されることも! ネットへの書き込みで刑事上の責任を問われる場合とは?
- 第2回 ブログで他人の著作物を引用したり、「まとめサイト」を作ることに問題はない?
- 第1回 著作権とは何か? ネットで情報を発信するとき、どんな注意が必要か?
いずれにせよ、撮られた側の気持ちになって配慮するマナーが大切です。

最近では簡易に写真を加工できるアプリなどもあるところですので、ネット上で写真を公開する際には、写り込んだ人の顔がわからなくなるよう加工するといった配慮をすることが、マナーとしても望ましいものといえます。