そもそもマイナンバー制度を始めた目的は?
従業員からマイナンバーを収集するにあたって、そもそもなぜマイナンバー制度が始まったのかを聞かれることが多く、困っています。どのように説明すればよいでしょうか。
マイナンバー制度の目的を理解してもらい、従業員からマイナンバーを収集しましょう。
平成27年10月よりマイナンバー通知カードの郵送が始まり、会社に対する、社内外からのマイナンバーに関する問い合わせが増えているようです。その中で、マイナンバー制度の目的について質問を受けることも多いようです。
前回(もしもマイナンバーの提出を拒否されてしまったら?)に説明したように、マイナンバーを会社に提供しなくても、従業員等が罰則を受けることはありません。
スムーズにマイナンバーを収集するためには、マイナンバー制度の目的を説明して、従業員がその意義を理解した上でマイナンバーの提供を求めることが大切でしょう。
公正・公平な社会の実現、行政の効率化、国民の利便性の向上が目的とされています。
まず、マイナンバー制度の大きな目的として掲げられているのは、税や社会保障の公平性の実現です。
マイナンバーを用いることによって、税務署や市区町村などの行政機関の間で、税と社会保障に関する情報を照会し合うことが可能になります。
これによって、社会保障の領域では、所得が十分にあるのに生活保護を不正に受給することなどを防止できます。また、税の領域では、所得税の扶養控除についての不正などを防止できるようになります。
次に、行政の効率化もまた、目的の一つとされています。
行政機関の間での情報照会が可能になったことによって、行政機関としては、情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が、大幅に削減されます。このように、行政コストを抑えることができるというのが制度導入の目的の一つです。
三つ目は、国民の利便性の向上です。
例えば、年金や福祉に関する申請をする際に、役所に提出する必要のある書類が少なくなる場合があります。これまでは、引越しの際などにも、いくつかの役所を回って添付書類を取得する手間がありました。
この作業が一部不要になるのも、マイナンバーをもとに行政機関の間で情報を照会することができるようになることの効果です。
また、マイナンバーを用いて、本人や家族が受けられる行政サービスの情報のお知らせを受け取ることも可能になっていくようです。
マイナンバーは、災害対策にも用いられます。
マイナンバーは、社会保障と税だけでなく、災害対策の分野の手続きにも用いられることになります。
具体的には、災害対策の分野においては、防災・災害対策に関する事務、被災者生活再建支援金の給付、被災者台帳の作成事務などに利用されることが、想定されています。
- ▼連載「中小企業とその社員のためのマイナンバー対応Q&A」
-
- 第12回 安全管理措置などの義務が守れそうにありません!
- 第11回 社員からマイナンバーの提供を受けるときの「本人確認」って?
- 第10回 そもそもマイナンバー制度を始めた目的は?
- 第9回 もしもマイナンバーの提出を拒否されてしまったら?
- 第8回 法人番号とは何? どんなときに使うものなの?
- 第7回 採用内定者や派遣社員からマイナンバーを取得するタイミングはいつ?
- 第6回 クラウドサービスを使って収集・保管するときに気をつけることは?
- 第5回 社員などから集めたマイナンバーを管理するうえでの注意点は?
- 第4回 マイナンバーについて、いつまでに、どのような内容の従業員教育が必要?
- 第3回 もしも、マイナンバーを漏えいさせてしまったら?
- 第2回 アルバイトからマイナンバーを取得するときに注意することは?
- 第1回 マイナンバー法は、すべての事業者に関係する法律なの?