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新人経理担当者のための仕事術 第2回

経理の仕事は会社の営業サイクルと一緒に回っていく

[ 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士)]

「経理」という仕事はじつに奥深く、会社の根幹を支える大事なものです。本連載では、「豆を仕切れる人」になるために、これだけはぜひ知っておいてほしい経理担当者のリテラシーについてお伝えしていきます。

新人経理担当者のための仕事術

会社における経理の役目とは?

 会社は、商品を仕入れ、販売し、代金を回収し、回収した代金を新たな商品仕入れに回します。つまり、購入販売回収購入→……という営業循環(サイクル)をくり返しながら、経営を継続し、皆さんの雇用を維持しています。

 このサイクルのうち、「購入」では商品や材料などを仕入れます。このとき、仕入れ代金の支払管理のため、経理担当者は記帳という処理を行います。

 記帳とは、「記録を帳簿につける」ことです。

 たとえば、商品など仕入れの事実は在庫有高帳(ざいこありだかちょう)という帳簿に記帳します。また、仕入代金の支払いの有無を管理する必要もあるので、買掛金台帳(かいかけきんだいちょう)にも記帳することになります。

 買掛金とは、買った代金を掛け、つまり後払い(ツケ)にすることです。

 身近な例でいうと、クレジットカードでパソコンなどを買うと代金は後払いになりますね。それと同じように、会社も日常的に、買掛金として仕入代金を後払いにしているのです。

 購入した商品を販売したら、売れた事実を在庫有高帳に記帳して、代金の回収管理を行います。

 未回収の販売代金を売掛金(うりかけきん)といい、これは売掛金を管理する売掛金台帳(うりかけきんだいちょう)という帳簿に記帳しなければなりません。

 売掛金が回収されたときは、回収の事実を売掛金台帳に記帳します。

営業サイクルと一緒に回る経理業務

経理が営業マンから煙たがられる理由

 売掛金が回収されないと、次の購入資金を得ることができないので、未回収が起こらないようにするのも大事な経理業務のひとつです。

 一般的な傾向として、営業担当者には、商談をまとめて取引先に商品を納入したところで、自分の仕事は終わったような気持ちになってしまう人が少なくないようです。

 そこで、未回収の売掛金をチェックするだけでなく、日頃から営業部門に対し、
「営業の仕事は、商品を売ってから代金を回収するまで」という意識をもたせることも、重要な経理の仕事になってきます。

 営業がビジネスの表舞台で活躍する役者とするなら、経理は芝居(ビジネス)の進行をチェックする舞台監督といえるかもしれません。

 ちなみに経理の業務範囲は、所属する会社の業種や規模で違いがあります。ここまで説明してきたのは、小売業や卸売業が対象となる、商品を仕入れて売るという“ディーラー型”の経理業務範囲です。

 製造業に代表される、原材料を仕入れ、製品に加工して販売するという“メーカー型”の経理では、これらのほかに原価計算(モノを作るために消費した材料や労働力などを金銭に換算すること)という業務を行うケースもあります。

メーカー型の営業サイクルと経理業務

▼連載「新人経理担当者のための仕事術」

本記事は、『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』(日本実業出版社)より内容を抜粋し、企業実務オンライン用に再構成したものです。

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』

『即戦力になる!基本が身につく 経理に配属されたら読む本』
村井 直志 著 日本実業出版社 発行 A5判 208頁 定価1,400円(税別)

経理に配属された新人が「即戦力」になるために必要な基本知識を解説

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著者 : 村井 直志<むらい・ただし>(公認会計士) 中央大学商学部会計学科卒。税務事務所、大手監査法人、コンサルファーム、東証上場会社役員などを経て、公認会計士村井直志事務所を開設。ビジネスにまつわる「数字」をわかりやすく伝承するアカウンティング・キュレーターとして、経営コンサルティング・監査・不正調査のほか、セミナー・執筆を行う。
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